建築分野における解体とは、しばしば建設という言葉と対にされ、建築物を壊すことを意味する。建築物の老朽化のためや建替え、災害等で著しく損傷し修理が困難な場合、何らかの理由で建物の使用目的が全くなくなった場合、あるいはその建物などが道路拡張などの行政による命令などで解体される。また重要建造物を移設する場合など、復元することを前提に一旦バラバラにする行程を指すこともある。
解体の方法はいくつかあり、内装材を除去した後、パワーショベル(重機)にアタッチメント(油圧破砕機など)を装着し、上部から少しずつ取壊していく方法(圧砕工法)が一般的である。パワーショベルが搬入できないような狭い場所にある構造物を壊す場合は、エアーブレーカーといった空圧工具または電動工具などの手持ち式機械を用いて、人力により上部から取壊す方法もある。発生材は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律により分別が求められるため、コンクリート片は油圧小割機などを用いて破砕し、コンクリート片と鉄筋に分別する。またスケルトンバケット(網状のバケット)やスクリーニングバケット(バケット型回転ふるい機)などを使用し、木くずや砂利、コンクリート片等、混合物の選別作業を実施する。
構造物の下部を鉄球などを使用して少しずつ取壊し転倒させる工法は、煙突の解体などでよく見られたが、現在は騒音や振動などの近隣住民への影響や、転倒時の衝撃により飛散するコンクリート片などに衝突するなど安全面にも不安が残るため、現在ではあまり使用されていない。
爆薬を使い一瞬で解体する爆破解体は、アメリカ合衆国などではビルなどの大型建築物を解体する際によく使われる方法である。超高層建築物の解体においてもよく用いられる方法だが、日本国内では規制が厳しいために行われることは少なく、建設を逆再生させるように最上段から順に解体していく方法や、ジャッキを利用してだるま落としのように下から順に解体していく方法などが採用されることが多い。赤坂プリンスホテル、りそな・マルハビルの解体では、大成建設により「テコレップシステム」[1]と呼ばれる順々に解体していく方法で行われた。
解体工事業を営むには、建設業法の「土木工事業」・「建築工事業」・「とび・土工工事業」の許可を受けている場合を除き、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律に基づき都道府県知事より「解体工事業」の登録を受ける必要がある。